○厚生年金基金令 第一章 厚生年金基金 第四節 給付及び業務の委託(第十九条―第二十九条) 第四節 給付及び業務の委託 (平二政二九・改称) (差別的取扱いの禁止) 第十九条 基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付は、加入員若しくは加入員であつた者又はこれらの者の遺族のうち特定の者につき、不当に差別的な取扱いを行うものであつてはならない。 (平一三政四二三・一部改正) (老齢年金給付の額の算定の基礎となる加入員であつた期間) 第二十条 加入員又は加入員であつた者の老齢に関し支給する年金たる給付(以下「老齢年金給付」という。)の 額の算定の基礎となる加入員であつた期間を計算する場合には、月によるものとし、かつ、加入員の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこ れに算入するものとする。 2 加入員の資格を喪失した後、再びもとの基金の加入員の資格を取得した者(加入員の資格を喪失した後に法第 百四十四条の三第三項の規定により他の基金が老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継し、又は法第百六十条第五項の規定により企業年金連合会(以下「連 合会」という。)が老齢年金給付の支給に関する義務を承継した者を除く。)については、老齢年金給付の額の算定の基礎となる加入員であつた期間は、当該基 金における前後の加入員であつた期間を合算した期間とする。 (平一三政四二三・平一六政三八三・一部改正) 第二十一条 加入員の資格を喪失した後、その者が当該資格を喪失する前に使用されていた適用事業所に係る基金 につき合併若しくは分割又は法第百四十四条の二第一項の規定による権利義務の移転があつた場合において、その者が当該適用事業所に係る権利義務を承継する 基金の加入員となつたとき(その者が加入員の資格を喪失した後に法第百四十四条の三第三項の規定により他の基金が老齢年金給付の支給に関する権利義務を承 継し、又は法第百六十条第五項の規定により連合会が老齢年金給付の支給に関する義務を承継したときを除く。)は、前条第二項中「再びもとの基金」とあるの は「合併若しくは分割があつた基金の権利義務を承継する基金又は法第百四十四条の二第一項の規定により権利義務を移転した基金の当該権利義務を承継する基 金」と、「当該基金」とあるのは「これらの基金」と、それぞれ読み替えて、同項の規定を適用する。 (平一二政一七九・平一六政三八三・一部改正) (基準標準給与額) 第二十二条 老齢年金給付の額の算定の基礎となる標準給与の額(以下「基準標準給与額」という。)は、次の各 号のいずれかに該当するものでなければならない。ただし、加入員であつた期間が一月であるときは、当該加入員の資格を取得した月の標準給与の額をもつて基 準標準給与額とする。 一 加入員であつた全期間の平均標準給与の額(加入員であつた期間の計算の基礎となる各月の報酬標準給与の月額と賞与標準給与の額の総額を、当該加入員であつた期間の月数で除して得た額をいう。以下この条において同じ。) 二 引き続き加入員であつた一定の期間の平均標準給与の額 三 老齢年金給付を支給すべき理由が生じた月の前月(その月において当該基金の加入員でなかつた者にあつては、加入員でなくなつた月の前月とする。)の報酬標準給与の額 (平一三政四二三・平一四政二四六・一部改正) (老齢年金給付の額の算定方法) 第二十三条 老齢年金給付の額の算定方法は、次の各号のいずれかに該当するものでなければならない。 一 加入員の基準標準給与額に一定の率を乗じて得た額に、加入員であつた期間の月数を乗ずる方法 二 前号に規定する方法に準ずる方法として厚生労働省令で定める方法により、加入員の基準標準給与額及び加入員であつた期間を用いて算定する方法 三 第一号又は前号に規定する方法により算定する額に、規約で定める額(以下「加算額」という。)を加算する方法 (平一二政三〇九・平一三政四二三・平一四政二四六・一部改正) (基金の加入員となる前の期間の算入) 第二十四条 基金は、厚生労働省令で定めるところにより、当該基金の加入員の当該基金の加入員となる前の期間であつて、次の各号のいずれかに該当する期間を、老齢年金給付の額の算定の基礎として用いることができる。 一 当該基金の加入員に係る基金の設立前の期間のうち、当該基金が設立されていたとしたならばその者が加入員となつていたと認められる期間その他これに準ずる期間 二 他の適用事業所に使用されていた期間の全部又は一部(規約において当該他の適用事業所の名称及び所在地並びに老齢年金給付の額の算定の基礎として用いる期間に算入する期間が定められている場合に限る。) (平一三政四二三・全改) (法第百三十三条の二第四項に規定する支給停止額の一円未満の端数処理等) 第二十四条の二 次に掲げる額に五十銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。 一 法第百三十三条の二第四項に規定する支給停止額 二 法第百六十三条の三第二項に規定する支給停止額 (平一三政三三二・追加) (脱退一時金) 第二十五条 加入員の脱退に関し支給する一時金たる給付(以下「脱退一時金」という。)は、規約で定めるところにより行うものとする。 2 老齢年金給付の額が第二十三条第三号に規定する方法で算定される加入員であつて当該老齢年金給付に当該加算額が加算されないものに支給する脱退一時金は、当該加算額の算定の基礎となる加入員であつた期間が三年以上の者に支給するものとする。 (平一三政四二三・全改) (遺族給付金) 第二十六条 加入員又は加入員であつた者の死亡に関し支給する年金たる給付又は一時金たる給付(以下「遺族給付金」という。)を受けることができる者は、加入員又は加入員であつた者のうち規約で定めるもの(以下「給付対象者」という。)の遺族とする。 2 前項の遺族は、次に掲げる者のうち、規約で定めるものとする。 一 配偶者(届出をしていないが、給付対象者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。) 二 子(給付対象者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、当該子を含む。)、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹 三 前二号に掲げる者のほか、給付対象者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたその他の親族 3 遺族給付金を受けることができる遺族の順位は、規約で定めるところによる。 4 遺族給付金を受けることができる同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。 5 年金として支給する遺族給付金は、終身又は五年以上にわたり、毎年一回以上定期的に支給するものでなければならない。 6 老齢年金給付(加算額が加算されたものに限る。以下この項において同じ。)又は加入員若しくは加入員であ つた者の障害に関し支給する年金たる給付若しくは一時金たる給付(以下「障害給付金」という。)の支給を受けている者が死亡したときにその遺族に対し年金 として支給する遺族給付金の支給期間については、当該老齢年金給付又は障害給付金の支給期間として規約において一定の期間を定めていた場合は、前項の規定 にかかわらず、五年未満とすることができる。ただし、当該老齢年金給付又は障害給付金の支給期間のうち支給を受けていない期間を下ることができない。 (平一三政四二三・一部改正) (遺族給付金の失権) 第二十六条の二 遺族給付金の受給権(給付を受ける権利をいう。以下同じ。)は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、消滅する。 一 遺族給付金の受給権者(受給権を有する者をいう。以下同じ。)が死亡したとき。 二 遺族給付金の支給期間が終了したとき。 三 遺族給付金の全部を一時金として支給されたとき。 2 前項の規定にかかわらず、遺族給付金の受給権者が死亡したときは、規約で定めるところにより、当該受給権者の次の順位の遺族に遺族給付金を支給することができる。 3 遺族給付金の受給権は、規約で定めるところにより、受給権者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、消滅するものとすることができる。 一 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。 二 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となつたとき。 三 離縁により、給付対象者との親族関係が終了したとき。 (平一三政四二三・追加) (障害給付金) 第二十六条の三 障害給付金は、規約において障害給付金を支給することを定めている場合に、規約で定めるところにより、次の各号のいずれかに該当する者に支給するものとする。 一 疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初 めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下この項において「初診日」という。)において加入員であつた者であつて、初診日から起算して一年六月を経過し た日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)があるときは、その日。次号において「障害認 定日」という。)から六十五歳以下で規約で定める年齢に達するまでの間において、その傷病により規約で定める程度の障害の状態に該当するに至つたもの 二 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下この号において「基準傷病」という。)に係る初診日にお いて加入員であつた者であつて、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日から六十五歳以下で規約で定める年齢に達する までの間において、初めて、基準傷病による障害と他の障害とを併合して規約で定める程度の障害の状態に該当するに至つたもの 2 前項各号に規定する規約で定める程度の障害の状態は、法第四十七条第二項に規定する一級、二級及び三級の障害等級の範囲内でなければならない。 3 年金として支給する障害給付金は、終身又は五年以上にわたり、毎年一回以上定期的に支給するものでなければならない。 (平一三政四二三・追加) (障害給付金の支給停止) 第二十六条の四 障害給付金は、受給権者が前条第一項各号に規定する規約で定める程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止するものとする。 2 障害給付金の受給権者が、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、障害給付金の全部又は一部の支給を停止することができる。 一 老齢年金給付を支給されたとき。 二 脱退一時金を支給されたとき。 三 当該傷病について労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条の規定による障害補償、労働者災害 補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による障害補償給付若しくは障害給付又は船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)による障害を支給事由とす る給付を受ける権利を取得したとき。 (平一三政四二三・追加) (障害給付金の失権) 第二十六条の五 障害給付金の受給権は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、消滅する。 一 障害給付金の受給権者が死亡したとき。 二 障害給付金の支給期間が終了したとき。 三 障害給付金の全部を一時金として支給されたとき。 (平一三政四二三・追加) (年賦払支給) 第二十七条 一時金たる給付は、当該受給権者が希望したときは、年賦払として支給することができる。 (平一三政四二三・一部改正) (給付の制限) 第二十七条の二 故意の犯罪行為により給付対象者を死亡させた者には、遺族給付金は、支給しないものとする。給付対象者の死亡前に、その者の死亡によつて遺族給付金を受けるべき者を故意の犯罪行為により死亡させた者についても、同様とする。 2 加入員又は加入員であつた者が、故意に、障害又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、当該障害を支給事由とする障害給付金は、支給しないものとする。 3 次に掲げる場合には、規約で定めるところにより、年金たる給付又は一時金たる給付の全部又は一部(老齢年金給付にあつては、加算額に限る。)を行わないことができる。 一 加入員又は加入員であつた者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて 療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復 を妨げた場合 二 受給権者が、正当な理由がなくて、法第百七十三条の規定による障害の状態に関する書類その他の物件の提出の求めに応じない場合 三 加入員又は加入員であつた者が、その責めに帰すべき重大な理由として厚生労働省令で定めるものによつて設立事業所に使用されなくなつた場合その他厚生労働省令で定める場合 (平一三政四二三・追加) (支払期月) 第二十八条 年金として支給する遺族給付金及び障害給付金の支払期月は、毎年一定の時期でなければならない。 2 法第百三十五条ただし書に規定する政令で定める額は、二十七万円とし、老齢年金給付の額がこの額に満たな い場合における当該老齢年金給付の支払期月は、規約で定めるところにより、当該老齢厚生年金の支払期月の例による月又は次の各号に掲げる当該老齢年金給付 の額の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める月とする。 一 十五万円以上二十七万円未満 二月、六月及び十月又は四月、八月及び十二月 二 六万円以上十五万円未満 イ又はロのいずれかに掲げる月 イ 六月及び十二月 ロ 二月、六月及び十月又は四月、八月及び十二月 三 六万円未満 イからハまでのいずれかに掲げる月 イ 二月、四月、六月、八月、十月又は十二月 ロ 六月及び十二月 ハ 二月、六月及び十月又は四月、八月及び十二月 (平元政三三六・全改、平一三政四二三・平一六政二八一・一部改正) (基金が業務を委託する場合の要件) 第二十八条の二 基金が法第百三十条第五項の規定に基づき、その業務の一部を信託会社(同項に規定する信託会 社をいう。以下同じ。)、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会(全国を地区とし、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号) 第十条第一項第十号の事業のうち生命共済の事業を行うものに限る。以下同じ。)、連合会その他の法人に委託する場合においては、基金の事業の実施に支障を 及ぼすことがないよう、委託先の財務内容その他の経営の状況を勘案して委託先を選定しなければならない。 (平一三政四二三・追加、平一六政二八一・平一六政三八三・平一六政四二九・一部改正) (基金が業務の一部を委託することができる法人) 第二十九条 法第百三十条第五項の規定に基づき、信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同 組合連合会及び連合会以外の法人にその業務の一部を委託する場合にあつては、次に掲げる要件に該当するものとして厚生労働大臣が指定した法人(以下「指定 法人」という。)に委託するものとする。 一 年金数理に関する業務を法第百七十六条の二第二項に規定する年金数理人が実施するものであること。 二 前号に規定するもののほか、基金から委託される年金及び一時金並びに掛金等に関する業務(以下「受託業務」という。)を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。 三 受託業務を長期にわたり確実に行うに足りる経理的基礎を有すること。 2 厚生労働大臣は、指定法人が前項各号に掲げる要件のうちいずれかに該当しなくなつたときは、同項の指定を取り消すことができる。 3 厚生労働大臣は、第一項の規定により指定をしたとき又は前項の規定により取り消したときは、その旨を公告するものとする。 (平二政二九・追加、平六政三四七・平一二政三〇九・平一三政四二三・平一六政二八一・平一六政四二九・一部改正)